Back number(2007年10月)
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Velib'

October 21, 2007

の話を、前回の予告通り書きます。
 「Velib'」は今年の夏からパリ市が始めたレンタサイクルのサービスです。画期的なのは、貸し出しから返却までの全てを無人のステーションで行なうので、24時間、好きな時に利用できることです。
 でも思うに、実はこれが曲者。どこにも係員がいないので、トラブルが起こっても、その場で対応してもらえない。ステーションに自転車が1台も無くても、他のステーションがどこかを聞く相手はいない。それどころか、ステーションが満杯だったら、返却したくても返却出来ない。借りる手続きも、慣れていなければ結構複雑で、ステーションの前で困っている人を良く見ました。
 実は、一度だけ借りようと試みたことがあります。ちょうど同じ時にパリに滞在していた、曙団の団長に借り方を聞いたところ、「まだ乗ったことは無いけれど、試してみよう」と言われ、仏語の堪能な団長に、ステーションに書かれている使用説明を読んでもらい、操作してみたのです。
 Velib' を借りるには、ICチップ付きのクレジットカードが必要です。ところが、私が持っていたクレジットカードにはICチップが付いていなかった。その代わり、ICチップ付きのデビットカードを持っていて、これで使えるかと試してみました。操作していると、150ユーロのデポジットが必要とのこと。嫌な予感がしましたが、そのまま手続きを進行。ところが、最後に発券される筈のチケットが出てこない!操作は(後から色々調べてみても)間違えていない筈なのに。
 時は既に深夜0時。これ以上、無理に分からない事をするべきではないかと思い、レンタルを諦めました。
 ところがです。次の日メールをチェックすると、乗ってもいないレンタサイクルのデポジットが引き落とされている事が判明!知っておられる方も多いと思いますが、クレジットカードとは異なり、デビットカードは使ったお金を瞬時に銀行から引き落とすシステムです。でも自転車に乗るどころか、チケットすら発券されなかったのだよ〜!
 それからは、カード会社(銀行)のパリ事務所に何度も電話。ところが、電話で対応してくれるのは日本人で、日本語は通じるのに、何だか話が進まない。「パリにはカードの情報を調べる端末が来ていないので、お客様の支払い情報を詳しく調べることは出来ない」とか「Velib' は始まったばかりのサービスだから」とか、自分の会社の規約なのに「今、ネットで調べています... 」とか言われたり。揚げ句の果てに「別の事務所に連絡したら、もっと詳しい情報が分かる筈」と言われて電話した先で「お客様のカードはこちらでは扱えない」なんて門前払いされる始末。とうとうパリでは何も解決出来ずに帰国しました。
 そんな訳で、帰国して、すぐに日本のカード会社(銀行)に電話をしました。すると、何とあっさり「では来週の火曜日(祝日を挟んで、次の営業日だったのですが)にお客様の口座へ返金させて頂きます」なんて返事。パリでの苦労は何だったのだろうというくらい、何ともあっけなく解決です!同じ日本人でも、パリに住んでいる日本人は、きっと色々な意味でフランスに、かぶれちゃってるんでしょうね。
 ちなみに、曙団団長のブログには、私がレンタルを失敗した2日後に、ちゃっかり Velib' に乗った体験レポートが書かれていました。
え〜!?

P.S.
現在バルセロナに滞在している、建築家の森田さんのブログで、同じようなレンタサイクルのサービスがバルセロナでもあると書いておられます。もしかしたら、これがヨーロッパの都市交通のスタンダードになる日も近い?

首都圏の自動改札機のトラブル

October 19, 2007

のニュースを見て、何だかパリみたいと思った。
 パリではよく、機械が壊れていた。エスカレータやエレベータは、しょっちゅう止っていたし、コインランドリーはコインを入れても動かない。この夏、サービスが始まったレンタサイクル「Velib'」のチケットは発券されず(※この話は次回に)、正に、メトロの改札に切符を入れても改札が開かないこともあった。
 もしパリで、今回のトラブルと同じような事態が起こったらどうなるだろう。きっと駅員さん達は、プログラムを作った会社が悪いのだからと、全く何の対応もしないのではないか。もしかしたら、親切な駅員さんのいる駅では、その駅員さんの判断で改札を開放するかもしれない。でも、それが今回の首都圏の鉄道会社の対応と同じように、全駅に徹底されることはないだろう。
 そうするとパリ市民はどうするだろう。きっと、乗客個人の判断で、その状況を打開するのではないか。要するに、改札を乗り越えると思う。普段から乗り越える人達もいたし。(笑)
 だから、今回のトラブルで首都圏の鉄道会社が取った対応は、ちょっと感動的でもある。それなのに皆、現代社会のリスク管理や、プログラムを作った会社の責任論ばかりで、ネガティブな話ばかりだ。もうちょっと、駅員さん達の対応に感謝しても良いと思う。

P.S.
ちなみに、前述の私の改札のトラブルの時は、古い切符だったからでもあったのだけれど、
乗り越える勇気は無く(笑)、何度も切符を改札に通していたら、なんとか開きました。
よかった〜。

郵政民営化

October 12, 2007

が始まってから、用事があって郵便局へ行ってきたのですが、入るなり、職員(もしかして、もう社員って呼ぶの?)の方から「お客様の窓口はこちらです」って、あたかも「お客様は神様です!」みたいな対応をして頂きました。民営化の効果てきめんで、ちょっと居心地悪かったです。(笑)
 思い返すと、パリの郵便局でポストカードを出そうとした時、窓口の向こうには、終了間際だからか不機嫌なお姉さん。

「Bonjour(こんにちは)」と挨拶すると。
「Bonsoir(こんばんは)」と返事は既に微妙なすれ違い。
7枚のポストカードを出して
「To Japon」(英語でも仏語でもない)と言うと、冷たく
「Combien?(何枚?)」
聞き取れず、
「Air Mail」と英語でとんちんかんな返事。
すると再び、更に不機嫌な声で、
「Combien?(だから!何枚?)」
「...」
次は聞き取れたけど、仏語で「7枚」が言えない。(答えは「sept」)

 相手は溜め息をついてカードの枚数を数え、淡々と7枚の切手を差し出してきました。要するに、自分で切手を貼って、ポストに入れろってことらしい。(ちなみにポストは郵便局の外でした)
 これに比べたら、民営化の前の日本の郵便局でも、もっとサービスが良かったですよね?例え、日本語が話せない外国人が、終了間際の郵便局に入ってきたとしても、職員は不機嫌に対応しないだろうし、7枚くらいのポストカードの数は数えてくれたと思う。更に、最後は「こちらで出しておきます」と言ってもらえたりして、切手を貼ることも、ポストに投函する必要もなかったのでは。
 G7の一つ、フランスの首都、観光の都、パリでもこの程度のサービスで、十分機能しています。それに対して、日本の様々なサービスは、サービスを受ける側にまで気を遣わせるくらい、きめ細かいのではないでしょうか。郵便局も民営化だからと言って、そんなに(以前以上に)過剰なサービスが必要かしら? なんて思いました。

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